FEATURE 特集

赤坂 LEVERRE ソムリエ 山田晃通インタビュー

ソムリエ

山田晃通 Akimichi Yamada

1972年11月8日生まれ
浜松グランドホテルや浜松・ホテルオークラ勤務時代にソムリエの資格を取得。
2000年に独立後は、ワインバー「ワインルーム・アーベント」やワインショップ「ワインブティック・パニエ」を経て、2012年に赤坂に「LEVERRE」をオープン。山田氏のワインに帯する深い想いの詰まったワインサロンには日夜ワイン好きが集まりにぎわっている。

──昨年、ここ赤坂に「LEVERRE」をオープンされましたね。

2012年にこの物件を見つけたとき、「赤坂では、まだワイン好きの誰もが知る有名ワインバーを聞かないな」と新店舗出店を決めました。どうせならとにかく自分の好みのワインを楽しんでもらえる空間をと、今まで名古屋や浜松などで経営してきたレストランやワインショップとは思考を変えて「シャンパーニュ」と「ブルゴーニュ」を中心に。いわゆる“好み”で私がセレクトしていますから、料理もそれに合わせて同じ地方、ブルゴーニュの家庭料理をご提供しています。つまり、ワインの存在が優先で、料理も選んでいるんです。赤坂ではいわずと知れた中華料理店「栄林」さんの上階ですから、名物の酸辣湯麺も味わえますよ。

──よく、ワイン会も開催されているとか。

自分の好きなワインで勝負をしたい、そう思ったとき、ワイン会の開催にも力を入れようと思いはじめました。ワインバーとして利用できるだけでなく、ワインラバーたちが集まって良いワインを持ち合える場を作りたかったんです。すばらしいワインを持っているなら、持ち込み料などという概念を取り払って、ストーリー性のあるセレクトを味わい、語らう。そんなワインラバーとの時間を共有しようと思い、月に1回のペースでワイン会を開催しています。

──どのようなテーマで、どのような人たちが集まるのですか?

生産者別だったり、入門編からVIP用のセレクトまで様々なテーマがあります。このお店に至るまでのワイン仲間のつながりが多いですが、どんどん輪は広がっています。

清家>前回私も参加して、山田さんの知識の深さにとても勉強になりました。また、ワイン好きが集まれば、楽しく、美味しい時間はあっという間ですね。

この、ワインラバーの縁が非常に大切で、今回お店のアートディレクションをお引き受けくださった麹谷宏先生との出会いもやはりワイン。ソムリエになりたての1999年、帝国ホテルで開催された「ブルゴーニュの巨人たち」という、18組の生産者が集まる盛大な試飲会へ参加し、麹谷先生と出会ってご挨拶したことがきっかけです。それ以来、お店をオープンすれば海外にいらしてもお祝いのメッセージをくださったり、たまたまヨーロッパから同時に帰国してばったり空港でお会いしたり。「ブルゴーニュ騎士団」のパーティーへ呼んでくださったのも麹谷先生でした。うちのワインクーラーも、先生の力作が並んでいます。

──それがきっかけで、ブルゴーニュに熱中するように?

まさに。
2005年に「ブルゴーニュ騎士団」の称号をいただき、さらに熱中するようになりました。壁紙にその時の写真を使っています(笑)また、ちょうどこの頃から名古屋や浜松の経営店は任せられる人間が育ってきてましたから、私は東京で試飲会など出張が多くなっていましたね。ここのオープンの足がかりはその頃から作り始めていたといえますね。

──では、話は少しさかのぼって、ワインに熱中したきっかけは?

そもそもね、若いときはお酒はほとんど飲めなかったんですよ(笑)それが、ホテル勤務時代にワインの棚卸しを担当するうちにいろいろ勉強しなくてはならなかった時期がありました。少しずつ飲めないお酒を味見するうち…、ワインは体に合っていたのかどんどん飲めるようになりました。チューハイ1杯しか飲めなかったはずが、1年後には気づけばハーフボトルなら1人で空けてしまうほど好きになっていましたね。

──その頃にはもうソムリエ志望だったのですか?

当時、バーテンダーが花形と言われる時代でしたから、リキュールやウイスキーは知識のある人がいても、ワインはなかなか…。そこで、みんなが知らないなら勉強してみようと意欲もわきましたね。ホテルでは和食や中華の担当から、料理に合うワインを聞かれたり、「語るだけソムリエ」になるのは早かった(笑)そして1年の独学を経て、26歳で気づけばソムリエになっていましたね。いいワインがあれば、フレンチでなくてもワインを飲みにくるお客様も増えて、楽しかったですね。

──ホテル勤務から独立したきっかけは?

ソムリエの免許を取ったとたんに、営業部門で販売の管理もしなければならなくなり、独立を考えて今に至ります。浜松にレストランとワインショップ、名古屋にワインバーとショップを兼ねたお店を経営しています。そして、ここ赤坂が一番新しい店舗ですね。

──そして、ポートフォリオとも出会われたのですね。最初の印象は?

オープン以来ポートフォリオを置いています。よくあるカリフォルニアワインのヘビーな凝縮感と甘さでは勝負していないことにまず、驚きました。一口含んだ瞬間に、グランクリュをイメージさせるエレガントな香りと、タンニンと酸味のバランスの良さに驚きました。さらに、この味わいを若いヴィンテージでできるということにも感動しましたね。グランクリュの風格というか、樹齢もそこそこ、冷涼な高度の畑で大切に育てられた雰囲気が一瞬で伝わります。ボルドーをはじめとした、ほかの品種の育て方を熟知している生産者じゃないかとも感じました。とにかく、上品だという印象でしたね。

清家>ありがとうございます。この大切に育てられた味を、一瞬でわかっていただけたことがとってもうれしかったです。また、若い時期に飲んでいただいて美味しいことも、胸を張れる特徴の一つですね。

──「ブルゴーニュ」と「シャンパーニュ」が中心の山田さんのお店で、ナパワインであるポートフォリオをご紹介いただいて感謝しています。

うちのお店のメニューの、最後のページをご覧ください。「JUN SEIKE」というカテゴリでポートフォリオをご紹介しています。実はこのページ、「人」にフューチャーしているんです。人だけでも、ワインだけでも成り立たないページ。「あれ、あの純ちゃん?」なんてお客様もいらっしゃいますよ。

──清家さんを選ばれた理由は?

最初お会いしてすぐ感じたのは、とにかく清家さんはポートフォリオを愛しているということ。そのワインへの愛情に共感を覚えました。「何本付けますから買ってください」、なんていう営業が多い中で、これだけワインに熱意を持てる人と出会えたことは私にとっても喜びでした。それから、清家さんがポートフォリオ一筋なことにも共感を持てました。1種類のワインに対して賭ける思いに、僕も刺激を受けました。そして、そのワイン、ポートフォリオがいいワインであるから彼女の想いの強さにも納得がいきましたね。

──今後、ポートフォリオに期待することは?

できればこのまま、と独り占めしたいような気持ちもありますが、より多くのワイン愛好家に知っていただきたいですね。そして、価値のわかる人たちに、しっかり認められていくことを私も応援していきます。愛情を持って育てられたワインは、愛情を持って飲まれるべきだと思うんです。

──ワイン好きにとって、山田さんのようにお店をもたれていると、セレクトも楽しそうですね。

もちろん。こういう規模ならとくに楽しいですよ。自分の“好き”を全面に出していけますから。100人を必ず喜ばせることは難しいけれど、自分の“好き”をしっかり表現していけば、それを好きだと言ってくれるお客さんは必ず現れます。

清家>山田さんの“好き”が詰まった「LEVERRE」に、私の大好きなポートフォリオを置いていただけているということも本当に嬉しいことです。

うちのワインセラーには、1500本のワインが常時保管されています。そこへ、いつもポートフォリオがあり、私たち、そして仲間たちのワインへの想いが詰まったお店にしていきたいと思っています。一緒に、素晴らしいワインを、ワインへの愛情ある人たちへ届けていきましょう。

LEVERRE

東京都港区赤坂3-16-2「栄林」5F
03-6459-1135
1月1日、1月2日定休
営業時間/18:00〜26:00(L.O.)
http://leverre.akimichi.jp/